吸込仕事率が高いサイクロン掃除機を調査しました(2014年9月1日時点)
各社のリーズナブルな低価格モデルが上位にランクインしています。一方でハイグレードな高価格モデルは下位に留まっています。
理由は後述しますが「サイクロン掃除機の吸込仕事率とは?」という記事でも書いたように、「吸込仕事率が高い=掃除性能が良い」という訳ではありません。
あくまで仕様上の数値が高いだけだということを考慮した上でご参考ください。
現時点で吸込仕事率が最も高い商品は「日立 ごみダッシュサイクロン CV-SA8」でした。このサイクロン掃除機は吸込仕事率が「620~約100W」と非常に高いのが特長です。
反対に吸込仕事率が最下位なのは、サイクロン掃除機の代名詞である「ダイソン DC63」シリーズの「160W」です(コードレスタイプの掃除機は吸込仕事率が公表されていません)
両者の吸込仕事率の差は「約3.9倍」となっています。しかし価格は「日立 ごみダッシュサイクロン CV-SA8」が25,000円前後、「ダイソン DC63 タービンヘッド」は67,000円前後なので「約2.7倍」の差があります。
この結果だけを見ると、ダイソンは「吸込仕事率が圧倒的に低く」「値段が非常に高い」商品を販売していることになりそうですが、言うまでもなくそんな事はありません。
ダイソンのサイクロン掃除機は「フィルターレスサイクロン」方式を採用しています。
これは「粉体分離器(Cyclone Separator)」の中で発生した「旋回気流」による遠心力でゴミと空気を分離する仕組みです。
粉体分離器を円錐型にして小型化すると旋回気流の回転速度が速くなり遠心力も強くなります。これにより大半のゴミを「フィルター」に頼らず極限まで分離できるというわけです。
しかし複数の粉体分離器で旋回気流を発生させるためには、強い吸込力が必要になるためエネルギー損失が発生します。結果として「延長管」「ホース」を通過する空気の量が少なくなり、吸込仕事率も低くなってしまいます。
ところがフィルターレスサイクロン方式は吸引力が落ちにくく、またヘッドが床に密着して空気が漏れない構造なので、吸込仕事率が低くても十分にゴミを吸引できるとされています。
一方で低価格帯のサイクロン掃除機は「擬似サイクロン」方式を採用している事が多いようです。
擬似サイクロン方式はゴミと空気の遠心分離を行っておらず、大半のゴミをフィルターで除去します。したがってフィルターが汚れると空気の流れが悪くなり吸引力が低下します。これを少しでも抑えるために最初から吸込仕事率を高めに設定しているというのが事の真相です。
結論としては、擬似サイクロン方式の安価なサイクロン掃除機は「吸引力が低下しやすいので初めから吸込仕事率を高くしている」、フィルターレスサイクロン方式の高価なサイクロン掃除機は「吸引力が落ちにくいので低い吸込仕事率でも問題ない」と言えるでしょう。